2023年10月11日

外科手術

消化管内異物

2週間から嘔吐しているとのことで来院されました。

症状

来院時の症状は、
・嘔吐(緑色の吐瀉物)
・食欲がない
・お腹が痛そう
・あまり動かない
・体重減少

・ご飯以外のものを食べてしまった
本来の体重よりも1.5kg(15%)ほど軽くなっていました。

かかりつけでは急性膵炎の診断を受け、治療をしていたそうです。
一時は良くなったが、食欲が出ないのと、嘔吐が止まらなくなったとのことでかかりつけ医の紹介で、ご来院されました。

当院で精査(超音波検査・バリウム検査)を実施したところ、十二指腸~空腸(小腸)あたりで閉塞所見を認めました。
閉塞部では、ご飯以外のなにかがあるように見えました。

幸い、腹膜炎や消化管穿孔の所見は認めませんでした。

診断は、
異物の誤飲による消化管閉塞及びそれに伴う急性膵炎疑い
でした。

治療方法

異物誤食(誤飲)の場合、いくつかの処置があります。

催吐処置

異物を飲み込んでから比較的短い時間であること(数時間以内)、食べたものが鋭利でないことなど条件次第で選択可能な処置になります。
血管内に薬剤を投与することで、嘔吐を促す処置です。
無麻酔で実施可能ではありますが、あえて吐き気を誘発する処置になりますので、動物さんには負担はかかりますし、薬剤の副作用にも注意が必要です。

消化管内視鏡

催吐処置では、胃から取り出せないような誤食物の場合、小腸の入り口までであれば内視鏡を使用し、取ることができる場合があります。
外科手術に比べると負担は少ないですが、全身麻酔での処置となります。
内視鏡で摘出を試みても困難な場合はそのまま外科手術に移行します。

外科手術

内視鏡で摘出が不可能なサイズや形、また場所の場合開腹手術が必要となります。
お腹を開けて、異物がどこに存在するか確認し、切開・摘出をします。
場合によっては、消化管が壊死して(腐って)しまい、一部消化管を摘出しなければならない場合もあります。

◯今回は、閉塞の状況や経過から、外科主従の選択をしました。
手術ではおもちゃのトングの一部が摘出されました。
腸は壊死しておらず、異物の摘出のみの手術となりました。

治療後

胃や腸管の手術後は5日前後の入院となることが多いです。

手術部が開いてしまい、お腹の中に漏れたりしていないかを確認します。
また、食事内容や回数も慎重に選択してい来ます。

今回の子は経過が長く、食欲が出てくるまで、少し時間がかかりました。

1週間程度で退院。

その後は、少しずつご飯も食べるようになり、体重も増えてきています。

今は、皮膚のチェックで通ってくれています。

※誤食は動物さんだけの問題ではありません。
飼い主様の意識で避けられる病気です。
死に至ることもありますので、十分に気をつけてください。

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