2023年09月28日

外科手術

肝嚢胞

他院よりセカンドオピニオンで、当院にお越しいただきました。

症状

・元気喪失
・食欲の低下
・嘔吐
・お腹の膨らみ(腹部膨満)

を主訴にかかりつけ医を受診。
精査にて、お腹に水が溜まっている(腹水)と指摘されたそうです。

当院でも再度超音波検査を実施したところ、腹水の貯留とは別に
肝臓もしくは胆嚢内に多量の液体貯留を認めました。
腹水の貯留は微量で、嚢胞内に貯留した液体が顔中の大部分を締めていました。

治療方法

液体貯留量が多く、起始部が確定的ではなかったため、CT検査による精査を実施しました。
その結果、肝嚢胞と胆嚢粘膜の壊死と診断できました。

治療は外科手術を選択し、肝臓の部分切除を実施しました。
肝臓の嚢胞壁はかなり菲薄化しており、破裂も考えられるほどに膨らんでいました。
一度、液体を抜き取り、嚢胞の疑わしい組織を肝葉ごと切除しました。
また、胆嚢もかなり癒着・壊死を起こしており、胆嚢の摘出も同時に実施しました。

内科治療での液体貯留を定期的に吸引する提案もさせていただきましたが、半永続的な治療経過となることも考慮し、飼い主さんと相談上、治療選択をさせていただきました。

治療後

術後は、一般状態が改善してくるまでに時間がかかり、1週間ほどの入院を経て、退院となりました。
原因は不明で、先天的後天的どちらも考えられます。 先天的の場合は腎臓にも嚢胞ができる可能性も報告されておりますので、現在も定期的な経過確認をしています。

症例一覧に戻る