断脚術

病態

断脚術(だんきゃくじゅつ)は、動物の脚の一部または全体を外科的に切除する手術です。通常、脚の切除が必要になるのは、事故や外的衝撃による重度の損傷、がん(特に骨肉腫などの悪性腫瘍)、重度の感染症、または治療が困難な骨折などの状況です。

断脚術が行われる主な原因は以下の通りです

  • 外傷や事故:交通事故や衝突、落下などによる脚の骨折や損傷が進行して治療が不可能になることがあります。
  • 骨肉腫などの悪性腫瘍:がんが進行し、脚の切除が必要な場合があります。特に骨肉腫は犬に多く見られる悪性腫瘍で、進行した場合は切除が推奨されます。
  • 重度の感染症や壊死:感染が広がり、脚の回復が不可能な場合には切除が必要です。
  • 神経損傷や虚血:血流が途絶え、脚が壊死することで切除が求められることがあります。
  • 慢性の痛みや機能喪失:治療が難しい慢性的な関節疾患や変形性関節症により、生活の質が低下した場合に断脚術が行われることがあります。

断脚術は、痛みから解放し、生活の質を向上させるために行われる場合があります。

症状

断脚術が必要となる動物に見られる主な症状は以下の通りです:

  • 強い痛み:骨折や腫瘍、感染症などが原因で、動物は常に痛みを感じている場合があります。痛みを避けるために脚を使わなくなったり、引きずったりすることがあります。
  • 歩行困難:脚に重度の障害がある場合、動物は歩行が困難になり、足を引きずるようになります。
  • 脚の腫れや変形:骨折や腫瘍、感染症が原因で脚に異常な腫れや変形が見られます。
  • 食欲不振や体重減少:悪性腫瘍が進行している場合、食欲不振や体重減少が見られることがあります。
  • 感染症の兆候:傷口から膿が出る、または熱が出るなどの感染症の兆候が見られます。
  • 歩行の拒否や動かさない:動物が脚を使うことを拒む場合、歩くのを避けるなどの行動が見られます。

検査方法

断脚術の適応を判断するためには、以下の検査が行われることがあります:

視診と触診
脚の外的状態を確認し、腫れ、変形、傷の状態などを調べます。痛みの有無や、脚に触れると反応するかをチェックします。

X線検査(レントゲン)
骨折や腫瘍、骨の変形を確認するためにX線が使用されます。特に悪性腫瘍や骨折の程度を評価するために重要です。

CTスキャンやMRI
詳細な画像診断が必要な場合、CTスキャンやMRIを用いて内部の状態を評価することがあります。腫瘍や感染の広がりを確認するために有効です。

生検(バイオプシー)
腫瘍が疑われる場合、組織を採取して癌の有無を確定するために生検が行われることがあります。

血液検査
感染症や腫瘍の影響を調べるために血液検査が行われることがあります。炎症反応や貧血の有無を確認します。

治療方法

全身麻酔を用いて、必要部位の断脚を行います。
血管や神経の処理に注意をしながら手術を進行します。
術後疼痛を伴う手術ですので、周術期管理として鎮痛コントロールが重要になります。

術後ケア
断脚術後は、動物が回復するためのサポートが必要です。術後のケアには、感染予防のための抗生物質の投与、痛み止め、または定期的な診察が含まれます。安静が重要であり、術後は無理な運動や歩行を避ける必要があります。
傷口が落ち着いたら、逆足でしっかりと生活できるようにリハビリも開始していきます。

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