猫びまん性虹彩悪性黒色腫

症状

・目が黒くなってきた

・眼球内に出来物がある

病態

猫びまん性虹彩悪性黒色腫とはその名の通り猫の虹彩に発生する悪性の腫瘍です。

虹彩とはブドウ膜と呼ばれる膜に分類されており、その他に毛様体、脈絡膜が含まれています。

この腫瘍は悪性度が高く、猫のブドウ膜原発腫瘍では最も多いと言われています。

初期の段階では虹彩や結膜等に黒い色素が沈着します。その後、色素の領域が徐々に拡大、色も濃くなっていきます。

虹彩に発生した腫瘍は拡大すると隅角と呼ばれる組織を圧迫し、続発性緑内障を併発することがあります。

また、脾臓や肝臓といった腹腔臓器への転移が報告されていることも重要です(転移率20-60%ほどとされています)。

治療

第一選択は外科的切除、つまり眼球摘出です。

腫瘍の存在が虹彩や隅角のみの段階(比較的早期の段階)で眼球摘出を行えば予後は良好と言われています。

更に拡大し、毛様体や強膜まで達した段階での眼球摘出した場合は1-3年後に腹腔内臓器や肺に転移してしまうとされています。

眼球摘出の選択肢を取ることはとても勇気がいることですが、生命予後や確定診断を考慮すると、眼球摘出を選択することが推奨されることもあります。

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