2023年09月28日
モンテジア骨折Type4(尺骨骨折、橈骨脱臼)
夜間救急でご来院された猫ちゃんです。
交通事故にあい、左足が腫れているとのことでご来院されました。
症状
夜間の交通事故は、残念なことにご来院も多く、場合によっては到着時に息を引き取ってるケースも珍しくありません。
交通事故では、
・視診でわかる傷
・腹腔内の出血
・呼吸器の異常
・骨盤の骨折
・頭部損傷による神経症状
など緊急的な処置が必要かどうかを判断する必要があります。
到着時、生死に関わる変化を確認し、左足の精査へと移りました。
レントゲン検査の結果、前足の橈骨と尺骨が折れています。
また、橈骨は肘の関節から外れていました(脱臼)。
尺骨骨折と橈骨脱臼を併発する場合をモンテジア骨折と言います。
猫ちゃんは包帯をつけてしまうと、手を執拗に振って、骨折が悪化してしまうことがあります。手術まで絶対安静としました。
骨折の一般的な症状としては、
・足が腫れている
・足を痛がる
・びっこを引いている
・歩き方がおかしい
などがあります。
治療方法
基本的に外科手術が必要となります。
骨折や脱臼の仕方により術式は異なります。 また、複雑骨折(開放骨折)により合併症のリスクも異なります。 今回は骨片が3つであったこと、折れ方が複雑であったこと、脱臼を起こしていたことで整復の難易度が通常よりも高くありました。 幸い、骨折部位以外は状態も安定しており、手術中の麻酔も安定していました。
治療後
術後は、しっかりと包帯処置・安静治療・疼痛管理を実施します。
今回の子は、骨折の複雑性はもちろん、筋肉や血管などの損傷もひどく、術後に皮膚が壊死してしまうリスクも有りました。
そのため、入院期間も通常よりも長く、10日ほどでの退院となりました。
現在では元気に走り回っています。