2024年07月22日

一般診療

猫の陰茎炎による尿道閉塞

はじめに

猫の尿道閉塞は、しばしば遭遇する機会があり、緊急性の高い疾患です。
今回の症例は、陰茎部の重度腫脹が原因で尿道閉塞を起こしていました。
また、その後の壊死により陰茎周囲の皮膚が脱落してしまいました。

原因

尿道閉塞の原因には、
・異物の閉塞(結石、炎症細胞、血餅)
・物理的な狭窄(外傷による陰茎先端の狭窄、外部からの尿道圧迫、炎症からの瘢痕収縮など)
が挙げられます。

写真の猫ちゃんは、陰茎の舐め壊しによって、先端が狭窄を起こし尿道閉塞を引き起こしていました、また、治癒過程で陰茎周囲が壊死、離開し、二次的に尿道が裂けてしまったため、尿道の再建債権を目的に、会陰尿道造瘻術を行いました。

診断

X線検査、超音波検査、造影検査等で、診断します。
またカテーテルを挿入して、尿道の細さ、閉塞している場所を特定します。

治療

完全な尿道閉塞では、急性腎不全が起こるので、緊急的な処置が必要です。
閉塞の解除ができない場合は、膀胱穿刺による減圧処置を行いますが、膀胱破裂を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
閉塞を繰り返す場合は、治療と再発防止を目的に外科的な処置が適応になります。

写真の症例は、骨盤腔内の尿道を、皮膚に開口する会陰尿道造瘻術を行いました。術
後経過良好で、現在は自力で排尿できるようになりました。

術後の写真

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