2024年03月08日

胃拡張胃捻転症候群(Gastric Dilatation-Volvulus:GDV)

GDVとは?

何らかの原因によって、胃が拡張し、捻れてしまう疾患の総称です。
治療しても死亡率が20~45%と、非常に難しい緊急疾患の一つです。
発症メカニズムはわかっていないこと多く、日々の現場でよく遭遇する疾患として、代表的です。

好発品種

大型の胸の深い犬種に多いです。
・グレートデン
・ジャーマンシ・ェパード
・ドーベルマン
・ボクサー
・セント・バーナードなど

国内では小型犬の発生もあり、特にミニチュアダックスフンドに多く見られます。

気をつけること

食後すぐの運動は避けることが望ましいとされています。
また、1回の食事量を増やしすぎず1日何度かに分けて食事を与えることも推奨されています。

症状

・吐こうとしても吐けない
・気持ち悪そう
・お腹が張っている
・ふらつく
・急に立てなくなった
・呼吸が早い
・粘膜が白い
などご自宅で明らかな異常がみられることが多いです。

ショック症状の前兆としてみられるものもあります。

放置するとどうなる?

高確率に死に至る可能性があります。

重度に胃が拡張するとお腹の中の太い血管が圧迫されて、循環が低下します。(ショック状態に陥ります。)
周囲の臓器に負担がかかり、胃壁の壊死や、脾臓の壊死が生じることがあります。

診断方法

触診など身体検査で緊急の状態を確認します(トリアージ)。
ショック状態に陥っているを判断し、その後の診断や処置に移ります。

確定診断はレントゲン検査などの画像検査で実施をします。

治療方法

早急な輸液、胃の減圧処置が必要です。
減圧には口からチューブを入れたり、経皮的に針を穿刺することで行います。

緊急で手術を行うこともあります。
手術では、胃捻転の整復、脾臓や膵臓などの胃周囲組織の評価および胃壁と腹壁の固定を実施します。

予後

処置後、合併症もなく退院出来た子は良好です。
しかし術後の死亡率は45%以上と言われており、十分な注意が必要です。

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